南米で最も美しい街といわれ、数々の映画の舞台としても知られるアルゼンチンの首都、ブエノスアイレス。本作は、サッカー、ワインとならび世界的に有名な、このタンゴの発祥の地で開催された宴“ブエノスアイレス・タンゴ・フェスティバル”を世界ではじめてカメラが追ったドキュメンタリーだ。タンゴ・ダンス世界選手権の記念すべき1回目が行われた2003年の模様を中心に、国内外から集まった“タンゲーロ(=タンゴ愛好家)”たちの“証言”の数々からその魅力を掘り下げるとともに、アルゼンチンタンゴに魅入られた人々のほとばしる情熱を映し出す。
 本編は、フェスティバル参加者によるパフォーマンスが中心。“タンゴ界のローリング・ストーンズ”ことセステート・マジョールの結成30周年を祝うために、“タンゴミュージックの女王”マリア・グラーニャや、日本での人気も高いタンゴ歌手ラウル・ラビエら一流のミュージシャンたちが集い、迫力の歌と演奏を披露。なかでも、セステート・マジョール伝説のバンドネオン奏者で、2004年に他界したホセ・リベルテーラによる神話的ともいえるオーラを宿した鬼気迫る演奏は圧巻のひと言に尽きる。さらにカメラは、世界中から集まった300組のダンス出場者たちの姿を、ステージ上のみならずバックステージにもまわって捉える。彼らの緊張と興奮、そしてパートナーへの愛を語る姿など、普段見ることが出来ない素顔までをスクリーンに焼き付けるのだ。
 映画は本場アルゼンチンにおけるタンゴ文化の奥深さのみならず、フェスティバルに胸ときめかす老若男女の姿を通じ、愛、情熱、そして生きることの素晴らしさをも教えてくれるだろう。


Profile:
アルゼンチン出身ミュージシャンたちの映像作品に多数携わり、写真家としても活躍。『タンゴ・イン・ブエノスアイレス-抱擁-』は記念すべき初の長編監督映画であり、2004年度アルゼンチン映画批評家協会賞シルバーコンドル賞のドキュメンタリー部門にノミネートされた。また同年には、結成30周年を迎えたセステート・マジョールや、ルベン・ファレスのミュージックDVD、さらに女性歌手ネリー・オマールのドキュメンタリー作品で監督も務めている。

《メッセージ》
 本作品はタンゴ・フェスティバルを、アーティスト、観客、催し物の集合地点として、撮影したもので、ドキュメンタリーという枠を超越していると確信してます。現実から創造への発展は、確かな材料と、アーティストの準備があって初めて成されると私は考えます。今回初めて、こうした特異な機会をもたせていただき、全世界、幅広い年齢層によるタンゴの精神的成長部分を、比類なき音楽芸術のかたちとしてフィルムに収めることができたと思ってます。

(劇場販売パンフレットより抜粋)
 

スタッフ/STAFF
製作総指揮:エンリケ・マルモンティ、ディエゴ・ラディヴォイ
監督:ダニエル・リヴァス
脚本:セシリア・グエルティ、アドリアン・ダモーレ、ディエゴ・ラティヴォイ
インタビュー:ロレナ・ロペツ
音響:ファビアン・ペルサ・ロメロ
編集:パブロ・カミノ
 



ホセ・リベルテーラ
[バンドネオン奏者]
アルゼンチンを代表する伝説的なバンドネオン奏者・編曲指揮者。1973年4月29日にルイス・スターソらとともに、セステート・マジョールを結成。本作完成後2004年に急逝。




ルイス・ボルダ
[ギタリスト]
作曲家にしてギタリスト。映画『12タンゴ ブエノスアイレスへの往復切符』(05)では音楽監督も務めた。妹のリディア・ボルダは、最高峰のタンゴ歌手のひとりに数えられる実力派。
 

アドリアナ・バレーラ
[タンゴ歌手]
世界でもトップクラスに数えられる、女性タンゴシンガーのひとり。太く、低音のハスキーボイスが特徴。タンゴとテクノの融合ユニット、バホフォンド・タンゴクラブにも参加している。



ルベン・フアレス
[バンドネオン奏者・歌手]
1947年生まれ。6歳でバンドネオンをはじめ、9歳でデビュー。ミュージシャンで作曲家でもあり、バンドネオン弾き語りの第一人者。




マリア・グラーニャ
[タンゴ歌手]
1953年生まれ。アルゼンチンタンゴ歌手の最高峰と称される歌姫。2004年には初来日を果たし、小松亮太と共演して話題を集めた。
 

フアンホ・ドミンゲス
[ギタリスト]
アルゼンチンミュージック界の至宝。タンゴのみならず、クラシックギターでも世界的に知られるスーパーギタリスト。日本にもファンが多く、来日公演も行っている。